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法人税の節税 税額控除を使っての節税

 
5-1 中小企業等投資促進税制の活用
 
 
1  税額控除か特別償却
 

一定の青色申告法人である中小企業者等が取得(又は賃借)する機械装置や電子計算機などに対して30%の特別償却か7%の税額控除を認める制度が、「中小企業投資促進税制」です。この税制は平成10年に創設されたもので、対象範囲の変更とともに適用期限が平成26年3月31日までに新品の機械及び装置等を取得し又は製作して国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却又は税額控除を認めるものです。
この制度を利用できれば、例えば対象資産を300万円購入したとすると、300万円×7%=21万円が税額控除できます(税額控除を選択した場合。また法人税額の20%が上限で、超過分は翌年に繰り越せる)。

  
2  中小企業等と特定中小企業者等
 

まずこの中小企業者投資促進税制の対象となる「中小企業者等」の範囲としては、以下のとおりです。

法人
資本金が1億円以下の法人(但し大規模法人の子会社は除く)
資本金を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
個人
常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人
その他
農業共同組合等


また中小企業者等のうち資本金が3,000万円(中小企業等基盤強化税制での卸売業・小売業・飲食店業・サービス業は例外として1億円)を超える法人以外の法人・個人等については、「特定中小企業者等」と規定しています。そして、その特定中小企業者等しか、取得の場合の税額控除の適用がありません。 
 

中小企業者などが一定の機械及び装置等を一定の契約により賃借した場合の税額控除(リース税額控除)については、中小企業者等が機械等を賃借した場合の税額控除(リース税額控除)(平成22年3月31日以前にリース契約を締結した場合)を参照してください。
平成20年4月1日以後に締結される所有権移転外リース取引(一般的なリース契約)により、税務会計上、賃借人が取得したものとされる資産については、特別償却の適用はありません。
3  特別償却額及び税額控除額
 

(1)特別償却
中小企業者等が新品の特定機械装置等を取得し、事業の用に供した場合には、供用年度の償却限度額は普通償却限度額と特別償却限度額との合計額とします。

 
【特別償却限度額】=基準取得価額×30%


【200万円の特定機械を1台取得した場合】

200万円×30% = 60万円を損金算入できます。
よって、所得金額が60万円減少しますので、法定実効税率を約40%としますと、 
60万円×40% = 24万円の節税効果が得られます。


(2)特別控除
特定中小企業者等(資本金・出資金の額が3千万円以下の中小企業者等)が新品の特定機械装置等を取得し、事業の用に供した場合において、特別償却の適用を受けないときは、供用年度の法人税額は、その事業年度の法人税額から、特別控除額を控除した金額とします。

【税額控除額】

 税額控除額 = 特定機械装置等の基準取得価額×7%
 税額控除限度額 = その事業年度の法人税額×20%
 ①または②のうち、いずれか少ない金額


【200万円の特定機械を1台取得した場合】

200万円×7% = 14万円を税額控除できますので、14万円の節税効果が予想されます。

 

注)医療用機械等に該当しないとされている給食設備については、中小企業者に該当するものは、当該特別償却ができます。また、他の規定との重複適用が禁止されています。

 

  
4  対象業種と対象資産
 

平成10年6月1日から平成24年3月31日までの間に新品の機械及び装置等を取得し又は製作して指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度に、特別償却又は税額控除が認められます。 
 

注)「給食用設備」及び「クリーニング設備」は、機械及び装置に該当しますが、「レントゲンテレビ、歯科診療用ユニットその他の医療機器」は、機械及び装置に該当しません。
  
5  特別償却及び税額控除の選択適用
 

中小企業者等のうち、資本金額が3,000万円以下の特定中小企業者等については、特別控除と特別償却のいずれも適用できますが、重複して受けることはできないので、どちらか選択しなければなりません。
中小企業等投資促進税制に関する特別償却や特別控除等と、他の特別償却や特別控除等とを重複して適用されることは認められません。ただし、試験研究費の特別控除は特定の資産を取得等した場合に適用されるものではないため、重複適用にはなりません。

 
5-2 研究開発税制による税額軽減
 
 
1  適用対象法人
 
青色申告法人の各事業年度において、損金の額に算入される試験研究費の額がある場合には、その試験研究費の総額に税額控除割合を乗じて計算した金額の税額控除を認めるという制度です。

(1)適用の対象法人
この制度の適用対象法人は、青色申告書を提出する法人、連結法人となります。 
なお特定の業種に限るなどの制約はありません。

(2)適用対象年度
「試験研究費の総額に係る税額控除制度」はその適用期間が付されていない恒久的措置とされています。税額控除割合については、下記の表のとおりです。
 
事業年度試験研究費割合税額控除割合
平成18年4月1日以後に開始する各事業年度10%以上10%
10%未満(試験研究費割合×0.2)+8%
 
  
2  試験研究費の総額に係る税額控除制度の内容
 
適用事業年度の試験研究費について、当該企業の試験研究費割合に応じて一定率(8%+試験研究費割合×0.2(上限10%))に相当する額を法人税額から控除します。
ただし、税額控除額は法人税額の20%相当額を限度とします。
試験研究費の総額に係る税額控除制度における税額控除割合の算定の基礎となる試験研究費割合とは、次の算式により計算した割合をいいます。
 

算式中の分母の「平均売上金額」は、当該事業年度及び当該事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度の売上金額の平均値となります。この場合の売上金額は、棚卸資産の販売その他事業として継続して行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供に係る収益の額(営業外の収益の額とされるべきものを除きます。)を基礎として計算します。
 
3  適用要件
 
この制度の適用を受けるためには、確定申告書に必要事項を記載し、法人税額の特別控除に関する明細書を添付したうえで申告します。特別控除明細書に記入した金額の計算根拠となる書類、帳簿類は保管しておく必要があります。
 
  
4  繰越税額控除超過額の繰越税額控除
 
 

この制度による税額控除の適用を受ける場合において、中小企業者等税額控除限度額が法人税額の20%相当額を超えるため中小企業者等税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額については、一定の要件の下に1年間の繰越しが認められます。
 
  
5  留意すべき点
 
実務上のポイントとしては、制度の対象となる試験研究費の範囲とその抽出にあります。
この試験研究費の対象となるのは次のような費用を言います。
その試験研究を行うために要する原材料、人件費及び経費
他の物に試験研究を委託する場合の費用
鉱工業技術研究組合法により賦課される費用

また、試験研究費のうち、新たな製品の製造などのために特別に支出した費用について繰延資産で経理した場合には、支出額がこの制度の対象となるのではなく、その償却費がこの制度の対象となります。
よって繰延資産たる試験研究費を支出した場合には、損金の額に算入した金額がこの税額控除の対象となることに留意する必要があります。
5-3 特別試験研究に係る税額控除
 
 
1  特別試験研究とは
 
「特別試験研究に係る税額控除制度」とは、その事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額のうちに特別試験研究費の額がある場合において、その特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。
 
中小企業技術基盤税制との重複適用はできません。
控除の明細を添付することになります。

(1)適用対象年度
この制度による税額控除の適用を受ける場合において、特別研究税額控除限度額が法人税額の20%相当額(※注1)を超えるため特別研究税額控除限度額の全部を控除しきれなかったときには、その控除しきれなかった金額については、一定の要件の下に1年間の繰越しが認められます(※注2)。

※注1 平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に開始する各事業年度においては、30%相当額となります。
※注2 平成23年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する各事業年度における繰越税額控除については、特例が設けられています。


(2)特別試験研究費の額等
この制度の対象となる特別試験研究費の額とは、試験研究費の額のうち、国の試験研究機関又は大学と共同して行う試験研究、国の試験研究機関又は大学に委託する試験研究、その用途に係る対象者が少数である医薬品に関する試験研究などに係る試験研究費の額をいいます。 
また、試験研究費の額とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額をいいます。ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額が試験研究費の額となります。

(3)特別研究税額控除限度額
この制度による特別研究税額控除限度額は、その事業年度の損金の額に算入される特別試験研究費の額に特別研究税額控除割合(12%-試験研究費の総額に係る税額控除割合)を乗じて計算した金額です。
 
比較試験研究費の額比較試験研究費の額とは、適用年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額を平均した額をいいます。
基準試験研究費の額基準試験研究費の額とは、適用年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額のうち最も多い額をいいます。
 
2  試験研究を行った場合の法人税額の特別控除
 
 
(A)試験研究費の総額に係る税額控除制度
控除限度額 
  試験研究費の額 × 税額控除割合(※)

(※)税額控除割合
試験研究費割合(注1)が10%以上の場合・・・10%
試験研究費割合が10%未満の場合・・・
(試験研究費割合×0.2)+8%

(注1)試験研究費割合とは次の算式により計算した割合した割合をいいます。
[算式]
 (注2)控除できる金額は、その事業年度の法人税額の20% (平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に開始する各事業年度においては30%)相当額が限度となります。
  

(B)特別試験研究費の税額控除
控除限度額 
 特別試験研究費の額×(12%-上記(A)の税額控除割合)
 (注)
控除できる金額は、当期の法人税額の20% (平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に開始する各事業年度においては30%)相当額からAで適用された税額控除額を控除した残額が限度となります。

(C)中小企業技術基盤強化税制
控除限度額 
 次のいずれか少ない金額となります。
 当期の試験研究費の額 × 12% 
当期法人税額×20%
(平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に開始する各事業年度:当期法人税額×30%)

(D)試験研究費の増加額等に係る税額控除制度
(上記A~Cの制度とは別枠で適用できます。)
控除限度額 
 次の①②のいずれかの金額(選択適用)と、のいずれか少ない金額となります。
 (試験研究費の額-比較試験研究費の額)×5% 
(試験研究費の額-平均売上金額×10%)×超過税額控除割合(※)
(※)超過税額控除割合=(試験研究費割合-10%)×0.2
当期法人税額×10%
 
  
3  留意すべき点
 
税額控除限度額のうち法人税額から控除しきれなかった金額は、1年間に限って、繰り越されます。 
青色申告法人が対象です。 
損金の額に算入される試験研究費だけが対象です。繰延資産は対象外となります。
6-1 役員報酬を支給して節税
 
 
1  役員報酬とは
 
中小企業の経営において事業承継は大きな問題です。さらに親族が、後継者になるためには、会社の業務及び経営状況を理解するだけでなく、得意先の信頼を得るためにも、経営者とともに仕事をすることは大変役立ちます。法人の場合は仕事に従事していれば給与を支給することができます。また、親族が役員となれば、役員として給与を支給することができます。
役員報酬を利用した節税には、以下の2つがあります。
 
役員報酬の増額等 ・・・ 利益の圧縮、所得の分散による節税
法人成 ・・・ 給与所得控除を活用した節税
  
2  役員への給与支給においての注意点
 
定時同額支給しなければならない。
議事録など完備しなければならない。
毎期一定時期にしか給与の増額ができない。
不相当に高額な金額は損金にならない。
 
3  給与所得控除とは
 
法人成りすると、経営者は会社から給料(役員報酬)を支給されることになります。
ここで重要なのは、給与所得には給与所得控除というものがあり、給与の額に応じて一定の控除をうけることが、法人の利益を圧縮するだけでなく、役員の所得も圧縮できます。
金額については、以下の表を参照してください。
 
給与額給与所得控除額
以下
0650,000給与額×100%
650,0001,625,000650,000
1,625,0001,800,000給与額×40%
1,800,0003,600,000給与額×30%+180,000
3,600,0006,600,000給与額×20%+540,000
6,600,00010,000,000給与額×10%+1,200,000
10,000,000給与額×5%+1,700,000
 
  
4  役員報酬増額における節税
 
企業の業績が良くなり役員報酬を増額していくことにも限界があります。現在の法人税の税率は最高で30%ですが所得税は、40%となっております。そこでも配偶者や親族が、役員になっている場合、代表者が行っている業務を委譲して役員報酬額を分散することも節税へとつながります。そこで下記のシュミレーションをしてみました。
 
【前提条件】
扶養親族は、奥様以外はいない。
奥様も役員である。
 
現在
(単位:千円)
社長奥様合計
給与額24,00096024,960
税額5,64005,640
改定後
(単位:千円)
社長奥様合計
給与額18,0006,96024,960
税額3,2145093,723

上記のように役員報酬を分散することにより所得税額が大きく減少します。
奥様に社会保険料が発生したとしても節税メリットがあり、世帯の可処分所得も増加するといえます。
 
5  法人成における税額比較
 
法人成による節税として給与所得控除による節税があります。
(例) 個人  事業所得500万円で所得控除が200万円の場合の税額

500万円(事業所得)-200万円(所得控除)=300万円(課税所得)
300万円(課税所得)×20%-9万円=51万円(所得・住民税額)
(例) 法人  法人所得500万円で役員報酬が500万円の場合の税額

500万円(法人所得)-500万円(役員報酬)=0万円(法人課税所得)

役員給与分所得税
500万円(役員報酬額)-154万円(給与所得控除)=346万円(給与所得)
346万円-200万円(所得控除)=146万円(課税所得)
146万円×15%=21.9万(所得・住民税額)
21.9万円(所得・住民税額)+7万円(法人税額)(注1)=28.9万円
法人になると税額22.1万円有利!
(注1)法人税は地方税均等割です。
 
6-2 適正な役員報酬とする
 
 
1  役員報酬の支給限度額
 
(1)役員報酬の会社法の制約
役員が自らの報酬を自由に決定できると、いわゆる「お手盛り」になるおそれがあるため、会社法は、役員報酬について、定款でその額を決めておくか、株主総会の決議で定めることと制約を課しています。(会社法361条参照)

(2)税法上の制約
法人税においては、役員報酬は、その役員に対する業務遂行の対価であるため、原則として、損金の額に算入できます。これに対し、役員賞与は、業務遂行の対価ではなく、利益処分の性格を有するため、損金の額には算入されません。報酬が損金になり賞与が損金にならないとなると、本来、役員賞与として支給するべきものを役員報酬の名目で支給して税金の負担を軽減しようとすることが考えられることから、役員報酬の額のうち役員の職務に対する対価として相当な額を限度として損金の額に算入することができるとされています。
つまり、会社が支給する役員報酬が不相当に高額である場合には、その高額と認められる部分の金額は、損金の額に算入できないということです。高額かどうかは、次の「実質基準」及び「形式基準」で判定します。
 
実質基準…その役員の職務の内容、会社の収益、使用人に対する給料の支給状況、同業種同規模会社の役員報酬の支給状況等からみて適正かどうか判定する基準
 
形式基準…定款の規定又は株主総会等の決議により定められた報酬の額を超えていないかどうかで判定する基準
2  定期同額給与
 
定期同額給与とは、1ヶ月以下の期間を単位(毎月・毎週など)とし、定期的に同一の金額を支給する役員給与をいい、以下の要件のいずれかに該当するもののことをいいます。
定期給与で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの
 
定期給与について、給与改定がされた場合には、その事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又はその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
 
継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの
 毎月供与される一定額の経済利益の具体例
    →社宅などの家賃、金銭貸付利息、保険料等

また、②の給与改定では以下の要件に該当していなければなりません。
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までにされた定期給与の額の改定。ただし、継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定で、その3か月を経過する日後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改定の時期にされたもの
 
その事業年度において臨時改定事由によりされた役員に係る定期給与の額の改定(①に掲げる改定を除きます。)

 

 
その事業年度において業績悪化改定事由によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、①及び②に掲げる改定を除きます。)

 

3  事前確定届出給与
 
その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めについて支給する給与で、その給与に係る職務の執行を開始する日(定時株主総会等の開催日)と会計期間3月経過日とのいずれか早い日までに、納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしている給与をいいます。

【事前確定給与のイメージ】


また、既に届出をしている法人が、その届出に係る定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときは、その変更後の定めの内容に関する届出はその事由の区分に応じて次に掲げる日までに行わなければなりません。
臨時改定事由
その事由が生じた日から1か月を経過する日
 
業績悪化改定事由
その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日が1か月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日)
4  一定の利益連動給与
 
利益連動給与とは、非同族会社が業務を執行する役員に対して支給する役員給与で次の要件をいずれも満たし原則として損金算入できる役員給与をいいます。
なお、特定の業務執行役員のみの支給は適用の対象外になります。

【適用要件】
その算定方法が、有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益に関する指標を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。
 
イ)確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
  
ロ)その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに一定の報酬委員会が決定していることその他これに準ずる一定の適正な手続きを経ていること。
  
ハ)その内容が上記ロの決定又は手続き終了の日以後遅滞なく有価証券報告書に記載されていることその他一定の方法により開示されていること。

 

  
有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益に関する指標の数値が確定した後1か月以内に支払われ、又は支払われる見込みであること。
 
損金経理をしていること。
6-3 親族への給与はいくらにするか
 
 
給与を決定する場合には、法人税法で定められた範囲で支給することが重要です。支給する親族が役員である場合と従業員である場合に分けて説明いたします。
 
1  親族が役員の場合
 
(1)適正な役員報酬とは
親族が役員の場合、他の役員と同じ基準で以下のポイントに気をつけて支給額を決定します。
役員報酬を活用した節税には、以下の2つがありまた特徴があります。
 
職務内容、責任レベルに見合った報酬であること
同業者・同規模の企業と比べて過大でないこと
常勤、非常勤など勤務実態に見合った報酬であること

(2)株主総会・取締役会で承認を得る
同族の者が資本の大部分を持ち、経営支配権を握っているような同族会社については、法人税などの税負担を不当に減少させることを目的に、非同族会社では容易にできないような取引や計算を行った場合、税務署長はそれを否認することができるとされています。
取締役の報酬については、定款に当該事項を定めていないときは株主総会の決議によることとされていますが、一般的には、その総額は株主総会で決議し、各取締役の報酬額については、取締役会の承認を得ることになっています。なお、総会・取締役会等の開催後には必ず議事録を作成し、きちんと保存しましょう。
2  節税額のシミュレーション
 
社長の親族である奥様や息子に給与を支給することにより、社長1人で給与を受け取る場合よりも税額が低く抑えられます。これは、所得税は『超過累進課税』であり、所得が多くなるに従い高い税率を適用されることとされているためです。
これを回避すべく所得の分散を行うことにより、分散する社長からは高い税率が適用される所得から削られていき、分散された親族側の所得には低い税率から適用されますので、世帯全体の収益性を下げずに税負担だけ抑えることができます。

【条 件】
社長の給与は12,000千円(A案)
世帯で給与の合計が12,000千円となるように奥様に支給(B、C案)
扶養は2人で、扶養控除と基礎控除以外の所得控除は考慮しない。
業務内容等は一切考慮しない。
 
A案B案C案
社長奥様社長奥様社長奥様
給与12,000,00008,000,0004,000,0006,000,0006,000,000
世帯給与計12,000,00012,000,00012,000,000
所得税1,153,4000544,500130,500214,500140,000
住民税798,0000501,000233,000327,000393,000
合計1,951,40001,045,500363,500541,500533,000
世帯税額計1,951,4001,409,0001,074,500
節税額542,400876,900

上記のように、A案のように社長1人で12,000千円の給与を受けとった場合には税額計が1,951,400円だったのに対し、B案のように社長8,000千円・奥様4,000千円の支給とするだけで542,400円の節税になり、C案のように社長6,000千円・奥様6,000千円の支給とした場合には876,900円の節税になります。
ただし、税務調査では仕事の従事量や責任の重さなどを問題にされます。C案のように社長と奥様が同額では、従事量が同じだったとしても責任レベルが全く違うため、奥様の給与の過大部分が否認されてしまいます。結果としてこの場合はB案にすることが妥当と思われます。
給与を決定する際は税理士等によく相談し、決定することをお勧めします。
3  親族が従業員の場合
 
役員に対する給与は、報酬、退職給与、賞与の3種類があります。賞与を除いて、役員報酬と役員退職給与については適切な額であれば全額損金に算入されますが、不相当に高額な部分の金額については損金に算入されません。
一方、使用人給与(退職給与を含む)については、税法上このような制約が存在しないことから、役員の親族を故意に役員にしないで、使用人として多額の給与を支給するなど、いわゆる租税回避する例が多く見受けられることなどから、平成10年4月1日以後開始する事業年度より役員の親族である使用人に対する過大な給与については損金の額に算入しないことになりました。
6-4 社長の給与は1800万円以下とする
 
 
役員報酬を支給する場合は、その報酬額が適正であるかどうかが重要となります。税務調査で役員報酬が過大であるとされた場合、否認された部分に対して法人税が課税となって、余計な税金を払うことになってしまいます。
また、通常の支給では損金不算入である役員賞与も、事前に届出を提出することにより損金として認められます。役員報酬を支給する場合は、税法上の規定をよく理解し、適正な報酬額となるようにしましょう。
 
1  法人と個人の総税額
 
法人にかかる法人税の税率と社長(個人)にかかる所得税を比較してみると、次のようになります。個人は、所得が増えれば増えるほど、税率が高くなっていくという超過累進税率になっています。これに対し、法人は一定税率となります。

【個人事業の課税所得に対する税率】
所得金額所得税率
195万円以下の部分5
195万円超~330万円以下の部分10
330万円超~695万円以下の部分20
695万円超~900万円以下の部分23
900万円超~1,800万円以下の部分33
1,800万円超の部分40

【法人事業の課税所得に対する税率】(※資本金1億円以下の場合)
所得金額法人税率
800万円以下の部分22
800万円超の部分30

役員報酬による節税効果を考える場合、法人税だけでなく、所得税にも注意する必要があります。
所得税の場合は最低税率5%から最高40%までありますが、法人税の場合は資本金1億円以下の場合であれば最低税率22%から最高税率でも30%までしかありません。役員報酬を支給することにより法人税を節税できたとしても、その節税額以上に社長個人の税額が増えてしまっては意味がありません。
そこで、税負担から節税の分岐点を探り、その分岐点を目安にして給与金額を決定することになります。

【 条 件 】
いずれも法人の所得と社長の給与の合計額が3,000万円になるように設定
法人は資本金300万円
社長の扶養は2名で、扶養控除以外は考慮しない

【 シミュレーション結果 】
A案B案C案
法人社長法人社長法人社長
利益/給与18,000,00012,000,00012,000,00018,000,0006,000,00024,000,000
利益・給与合計30,000,00030,000,00030,000,000
法人税/所得税4,760,0001,332,8002,960,0003,169,8001,320,0005,188,000
住民税2,459,700875,5001,529,1001,445,500676,0002,015,500
合計7,219,7002,208,3004,489,1004,615,3001,996,0007,203,500
税額合計9,428,0009,104,4009,199,500
節税額A案より 323,600A案より 228,500

上記のように、B案が一番法人と社長個人の納税額の合計が低く抑えられています。C案のように役員報酬を取りすぎてしまうと、法人の節税額以上に社長個人の納税額が増えてしまいます。
社長の所得控除等の条件により結果は様々ですが、このように法人と社長のバランスを考え、状況ごとにシミュレーションを行い、最適な役員報酬を決定することが重要です。
6-5 役員退職金を支給する
 
 
1  役員退職金支給に伴う法人税の負担減
 
役員退職金は、その金額が過大でない限り損金の額に算入することが認められています。したがって、役員退職金を支給することで、法人税の節税にもなります。
退職金支給は法人にとって、大変メリットの多い節税方法と言えるでしょう。

(1)退職金支給時比較表
【退職金支給前】【退職金支給前】
 
2  役員退職金受給に伴う退職所得の計算方法
 
退職金は永年の勤労に対し支給されますので、「退職所得」として他の所得と分離して課税されます。

(1)退職所得に該当するもの
勤務先から受ける退職金や一時恩給  (小規模企業共済からの一時金なども含む)

(2)退職金課税対象額の計算
退職金課税対象額=(収入金額-退職所得控除額)×1/2

【退職所得控除額の速算表】(勤続年数の端数は切り上げ)
勤続年数退職所得控除額
20年以下勤続年数×40万円 (最低保証80万円)
20年超(勤続年数-20年)×70万円 -800万円
退職所得は、「分離課税」であり、通常は支払いを受ける際に、源泉徴収されて課税関係は終了。

(3)所得税・住民税の算出
(2)で算出した課税対象額をもとに、所得税額、住民税額を計算します。
 
所得税
所得税額=課税対象額×税率-控除額

住民税
住民税額=(課税対象額×税率-控除額)×乗率
3  役員退職金の算定方法
 
実務上は役員退職金の計算方法は、次の2つが使用されております。

(1)退職金計算方法
 功績倍率法     1年当たり平均額法
 
【功績倍率方式】
適正な退職金    =    最終報酬月額 × 在任年数 × 功績倍率

【参考功績倍率】
会長・社長2.3~2.5倍
専務1.9~2.1倍

常務

1.8~2.0倍
取締役1.5~1.8倍
監査役(常勤)1.5~1.8倍
※平成17年度「役員報酬・賞与・退職慰労金」産労総合研究所

【1年当たり退職金平均金額法】
退職金相当額=比較法人の1年当たり退職金平均金額 × 勤続年数
 
  
4  役員退職金支給にかかる注意点
 
役員退職金の支出が、定款、株主総会及び取締役会の決議に基づいていること。
 
具体的に支給することが確定した日、又は実際に支給した日を含む事業年度において損金経理していること。
 
退職金の額が、その役員の在任期間、退職に至った事情、同規模他社における役員退職金の支給状況などに照らして不相当に高い金額でないこと。
 
退任後は、完全に第一線から退くか、オーナー社長などの場合は代表権のない会長等に就任するようにし、その場合の役員報酬の額は、退任直前の報酬金額の半分以下とすること。
 

 

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