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資産税の節税 株式を利用した節税

 
12-1 オーナー所有株式の資金化対策
 
 
1  自社株の譲渡価額
 

自社株式を譲渡する際の価額は、譲渡する側と譲渡される側の合意により決定されます。譲渡価額は第三者が決定するものではなく当事者間で決められます。
当事者間で合意した譲渡価額によっては、税務上の課税が生じる場合があります。
 

  
2  課税が生じない譲渡価額
 

税務面から見たあるべき価額も一様ではありません。個人間売買と法人が当事者の一方または法人間売買になっている場合とでは、取扱が異なってきます。
 

【個人間売買のケース
株式の相続税評価額未満で譲渡した場合、贈与税の課税が生じることになります。つまり、相続税評価額よりも低く株式を取得した側に、その安い分だけの贈与があったとして贈与税が課税されます。

 

 

【法人が当事者のどちらかである場合】
基本的には、「時価」でなければ課税が生じる。
「時価」よりも低い場合・・・譲渡した法人は「時価」との差額が寄付金
譲り受けた法人は、「時価」との差額について、受贈益の認定が行われる。


このように、法人が当事者となる場合「時価」との差額について課税が生じることになるため、譲渡価額が「時価」かどうか問題となります。
 

  
3  「時価」とは
 

自社株の「時価」については、上場株式のような取引相場がないため、その算定が問題となりますが、原則的には、財産評価基本通達で定められている評価額によります。
ただし、対象会社が土地又は上場株式を所有している場合は、「1株当り純資産価額」の計算にあたり、これらの資産についてはその時点での時価(相続税評価額ではなく取引相場)によります。
 

4  所有株式の関連会社への売却
 

オーナーの所有する株式を関連会社へ売却する場合も、前述した「時価」でもって行なう必要があります。

オーナーの自社株を関連会社へ売却した効果は次の通りです。

オーナーの所有株式
総株数 10,000株(資本金500万円)
相続税評価額 7,000円/1株
株式の時価  8,500円/1株
関連会社への売却株数 5,000株
オーナーの所有する財産評価額(自社株を除く) 50,000万円
配偶者、子供 2名。
株式による税金、オーナー株式の売却による売却益については、20%(所得税15%、地方税5%)の分離課税が行われます。

 

(単位:万円)
項   目金  額摘    要
売却価額
取得価額
売却益
所得税・住民税
4,250
250
(5,000株×8,500円)
(5,000株×500円) 

(4,000万円×20%)
4,000
800
したがって、売却後の手取りは、4,250万円から800万円を差し引くと3,450万円となります。

 

【相続税への影響】
(単位:万円)
項   目現   状売却した場合
(10年後)
現状10年後
自社株評価額
その他財産
現   金
7,000
50,000
10,500
50,000
5,250(5,000株)
50,000
3,450
57,00060,50058,700
相 続 税  19,80071,51020,650
(注1)株評価アップ(10年後)50%増 7,000×1.5倍=10,500
(注2)71,750-20,650=51,100万円の節税
売却代金の3,450万円を得ることが可能となります。

 

【ポイント】 非上場株の時価評価
 
上場会社なみの大会社は、原則として、会社の業績に着目する類似業種比準価額方式で評価します。
個人事業と変わらない小会社は、原則として、会社の資産価値に着目する純資産価額方式によって評価します。
大会社と小会社の中間にある中会社の株式は、大会社と小会社の評価方法の併用方式で評価します。併用割合は会社規模によって異なります。
会社の資産保有状況や営業の状況が特異である会社の株式は、「特定の評価会社の株式」として、どのような会社規模であっても原則として純資産価額方式によって評価します。

 

 会社区分

評価方法

支配株主
(同族株主等)
一般の
評価会社
大会社類似業種比準法式













中会社類似業種比準法式×0.90
+純資産価額(注1)×0.10
類似業種比準法式×0.75
+純資産価額(注1)×0.25
類似業種比準法式×0.50
+純資産価額(注1)×0.40
小会社類似業種比準法式×0.50
+純資産価額(注1)×0.50
比準要素数1の会社(注2)類似業種比準法式×0.25
+純資産価額(注1)×0.75
特定の
評価会社
株式保有特定会社S1+S2方式
土地保有特定会社純資産価額方式
開業後3年未満の会社
比準要素数0の会社(注3)
開業前・休業中の会社
清算中の会社清算分配見込額の複利現価法式
少数株主一般の評価会社配当還元法方式
特定の
評価会社
その他の特定会社(特例的評価方式)
開業前・休業中の会社純資産価額方式
清算中の会社清算分配見込額の複利現価法式

 

(注1)議決権割合50%以下の同族株主グループに属する株主については、その80%で評価します。
(注2)直前期を基準として1株当りの配当・利益・簿価純資産のうち、いずれか2つが0で、かつ、直前々期を基準として1株あたり配当・利益・簿価純資産のうちいずれか2以上が0の会社をいう
(注3)直前期を基準として1株当り配当・利益・簿価純資産のうち3要素が0の会社をいう。

 

12-2 役員報酬と配当の有利不利
 
 
1  配当と役員報酬の違い
 
会社オーナーの年間収入は、役員報酬2,000万円、自社からの配当収入500万円の合計2,500万円と仮定します。この配当収入を役員報酬に替えると、総収入2,500万円ということで代わりません。個人から法人の方に目を向けてみると、元々配当金は、法人が出した利益に対して法人税等を支払い、残った可処分所得を財源として支払われるものです。すなわち、配当金は法人税を払った後にさらに所得税も払うという二重課税の構造をもっています。

【配当金500万円を役員報酬で支給した場合のケース】
 
2  株価の引下げにも効果
 
上記の通り、配当金を役員報酬に振り替えることにより、株価引下げの効果に繋がります。
非上場株式を評価するうえで、類似業種比準価額の引下げにも繋がります。
類似業種比準価額は、自社の"配当"、"利益"、"純資産"の3つの要素から算定されます。配当をゼロにし、しかも利益も引き下げるわけですから、株価は引き下げられます。しかも、現在は株価評価における利益のウェイトが高くなっているので、より効果的です。

【ポイント】 類似業種比準価格の評価方法
類似業種比準価額方式は、業種の類似する大会社の平均株価に比準させて、評価会社の株式価格を求める方式です。比準要素は、1株当たりの配当金額、1株当たりの利益金額、1株当たりの純資産価額(帳簿価額)の3要素です。具体的には次の算式で計算します 。
 
      ※斟酌率:大会社は0.7、中会社は0.6、小会社は0.5。 

この算式におけるA、B、C、D、(B)、(C)および(D)はそれぞれ次によります。なお、A、B、C、Dの数値は国税庁から発表されます。
 
類似業種の評価会社の
株価(注1)
課税時期の属する年の1株当たりの
配当金額
(B)直前期末における1株当たりの
配当金額
課税時期の属する年の1株当たりの
年利益金額
(C)直前期末における1株当たりの
利益金額(注2)
課税時期の属する年の1株当たりの
純資産価額(帳簿価額)
(D)直前期末における1株当たりの
純資産価額(帳簿価額)(注3)

次の①~④のうち最も低い金額を採用します。
課税時期の属する月の類似業種の毎日の最終価格の月平均株価
課税時期の属する月の前月の類似業種の毎日の最終価格の月平均株価
課税時期の属する月の前々月の類似業種の毎日の最終価格の月平均株価
類似業種の前年平均株価
「損益計算書上の利益」ではなく、「法人税の課税所得を基礎とした金額」を採用します。

 純資産価額=直前期末の資本金額+資本積立金額+利益積立金額
12-3 相続人の自社株式の法人への売却
 
 
1  金庫株の税務
 
(1)売却した側の税務

【原則】
非上場株式を発行会社に売却した場合には、「みなし配当」課税として最高50%の税率で課税。

【特例】
平成16年度改正により、平成16年度4月1日以降の譲渡について、相続で取得した非上場株式を相続税の申告期限後3年以内に発行会社に譲渡した場合、みなし配当課税は行われず、譲渡所得課税。
譲渡として扱われるため、「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」を併用できます。

(2)取得法人の税務
自己株式を取得した法人については、資本等取引となりますので、課税関係の発生はない。

A氏は相続で取得した株式を、発行会社B社(非上場会社)に相続発生から2年後に売却をした。
売却価額20,000円/株
取得価額10,000円/株
資本等の額10,000円/株
売却株数10,000株
A氏の相続税額 2億円
A氏の相続税課税価格 5億円

(1)みなし配当課税の場合
 (20,000円-10,000円)×10,000株=10,000万円(みなし配当)
 10,000万円×50%(最高税率)=5,000万円

(2)譲渡所得課税の場合
 取得費加算
 2億円×1億円/5億円=4,000万円
 20,000万円-(10,000万円+4,000万円)=6,000万円
 6,000万円×20%=1,200万円
2  別会社の活用
 
自己株式を売却した場合には、総合課税部分(みなし配当等)と分離課税部分(譲渡損益)に分けて課税されることになります。
みなし配当については、総合課税となりますので、給与所得等の他の所得が高い場合には、税率が高くなり、結果として税負担が増える場合があります。
そのような場合には、別会社が株式を購入するという方法が考えられます。
この場合は、自己株式の売却ではなくなりますので、全て譲渡所得として扱われます。
買取価額
会社が相続人から自己株を買取る場合の買取価額は、いわゆる「時価」になります。
単純に「相続税評価額」で売却しますと税務上問題が残ることになります。
時価の算定方法としては、「時価純資産額」や「(類似業種比準価額+時価純資産価額)÷2」といった方法により算出することになります。

【ポイント】
個人株主が法人へ株を売った場合の課税関係

発行法人に買取ってもらった場合
 その売却益は「配当所得」となり、税率は、最大で50% 
税率は住民税を含む

発行法人以外に買取ってもらった場合
 その売却益は「譲渡所得」となり、税率は、一律20%
非上場株の場合
 
 
12-4 従業員持株を優先株式に変更する
 
 
1  議決権制限株式の活用
 
平成14年4月の商法改正で議決権がないという株式(議決権制限株式)を発行できる、議決権の自動復活制度を廃止する、発行済株式総数の2分の1を限度として、議決権制限株式を発行することができる、という規定が定められました。
 
従業員株主が会社の株式を所有するメリット
 経営参加意識の高揚資産形成・運用出資配当金
議決権制限株式へ変更する
会社側のメリット
 事業承継者以外へ議決権株流出防止
 
2  配当優先株式(議決権制限株式)のしくみ
 
配当優先株式のポイントは次の2つです。
普通株式に優先して配当を受ける権利があること。
優先株式の発行限度は発行済株式総数の2分の1以下であること(譲渡制限会社についてはこの限りではない)。
 
(注)なお、新会社法では、株式譲渡制限会社についてはこの規制がなくなり、無制限に議決権株式を発行することができるようになりました。

さらに、このような議決権制限株式を発行しなくても株主総会の特殊議決により、議決権や配当について株主ごとに異なる取扱いを定款に定めることもできます。

【現 状】
社長保有株式1,000株 
普通株式
100%
社長保有株式100%を後継者に譲ることは、相続税の負担があまりにも重い

【対策後】
社長保有株式1,000株 
普通株式
100%
従業員持株会 300株
無議決権株式 
対策後の効果 : 社長保有株式のうち、一部(支配権が失われない範囲)を議決権制限株式へ変更した上で、従業員持株会へ譲渡する。従業員持株会へは配当還元価額で譲渡する。(10%配当のとき原則として額面相当額になる)。これにより社長保有株式数を減らすことができ、相続税負担額は軽減される。また、株式を従業員持株会へ譲渡することによって、株式を社外流出させずに、従業員への福利厚生が果たせる。

この対策後、社長保有株700株の事業承継対策としては、360株を後継者に相続させるだけで51.4%の議決権の確保が可能になります。したがって、残る340株(48.6%)は役員や社長親族等に所有させても支配権が揺らぐ心配はありません。
12-5 赤字法人に借地権を移転する
 
 
1  借地権の設定
 
個人の土地に会社が建物を建てる場合、常に、借地権の問題が生じます。土地が建物所有者以外のものの所有であれば「土地を借りる」借地関係を避けることはできません。

【借地権の設定基本パターン】
借地権の買取
借地権の設定
無償返還の届出相当の地代の授受
通常の地代の授受
同届出なし相当の地代の授受
通常の地代の授受
使用貸借(個人間の借地関係の場合)
  
2  借地権の認定課税
 
子会社や事業に関係のある者に土地を賃貸する場合には、本来権利金を受け取るべきであっても、対価を受けないなど相手先に有利な条件で賃貸する場合もあります。このような場合には、通常であれば受けられたはずの権利金があったものとして課税されることになり、これを「借地権の認定課税」といいます。
認定課税される要件と、その権利金の額は次のとおりです。
 
項   目内   容
認定課税される要件次の要件のすべてを満たす場合
通常権利金の授受を伴う土地の賃借であること
通常支払うべき権利金の額を支払っていないこと
相当の地代の額を支払っていないこと
認定課税される権利金
土地の更地価額×(1-実際に収受した地代の年額 )-(実際に収受した権利金+特別な経済的利益の額)
相当の地代の年額
3  赤字法人へ借地権を
 
赤字法人が、オーナーの敷地に建物を建築し、借地権の認定課税を行なった場合、借地権相当額は、法人の利益となるもののそれに見合う赤字があれば通算され、税負担は生じないことになります。
結果として、オーナーの敷地の借地権相当が、無償で赤字法人に移転したというわけです。

【赤字法人がオーナーの土地に建物を建築する場合】
オーナーの土地評価額(借地権割合70%)
    相続税評価額 1億6,000万円
    時価 2億円
会社の税務上の繰越欠損金 2億円
現在の会社の株式評価額(純資産価額△2億円) 0
上記の土地に会社の借地権を設定
 
【オーナーの財産内容】(単位:万円)
項   目現  状借地権設定後
土  地16,0004,800(16,000×30%)
合  計16,0004,80011,200
項   目現  状
現在の純資産
借 地 権 
20,000
11,200
合  計8,800

一方、法人の利益は
税務上の繰越欠損金20,000万円
借地権の認定課税14,000(20,000万円×70%)
差引 6,000万円
となるため、法人税等の負担もありません。
 
12-6 自社株相続のための株価対策
 
 
1  赤字のときの類似業種比準価額
 
会社が赤字または利益が少ないことは、株の贈与のチャンスです。一般的に類似業種比準価額、純資産価額ともに株価も下がります。

【類似業種比準価額方式における株式の比準要素】
配当金額年利益金額純資産価額

このうち、会社が赤字になれば①の配当金と②の年利益金額はともにゼロになります。したがってこの場合の比準要素は純資産価額のみとなりますので、それを3分の1とすると、株価は大幅に下がります。(ただし、直前々期に利益が出ていることとします)。
 
  
2  債務超過のときの純資産価額
 
類似業種比準価額方式における赤字の場合の評価は上記のとおりですが、では純資産価額方式の場合はどうなるのでしょうか。
この場合は、たとえ赤字になったとしてもそれだけで株価は下がりません。
すなわち、純資産価額方式は、会社の損益という観点からではなく、保有資産の含み益などから、株価を算出するためです。
 
保有資産について総資産額よりも負債の価額が大きい場合、すなわち、債務超過の場合には株価はどのように評価されるのでしょうか。
通常の場合の株価が37,400円と計算されます。ところが、債務超過の場合だと株価が11,600円と計算されます。
 
類似業種比準価額による株価(大会社)
500円 × { ( 12円 / 10円 ) + ( 25円 / 20円 ) × 3 + ( 600円 / 500円 ) } / 5 × 0.7 = 430円
赤字会社の場合の類似業種比準価額による株価
500円 × { ( 0円 / 10円 ) + ( 0円 / 20円 ) + ( 600円 / 500円 ) } / 5 (※) × 0.7
(※)利益比準値がゼロの場合の分母は0

【前提条件1】
相続評価額による総資産額10,000万円
帳簿価額による総資産額7,000万円
負債の額5,000万円
発行済株式総数1,000株
 
純資産価額方式による株価
[ ( 10,000 - 5,000 ) 万円 - { ( 10,000 - 5,000 ) 万円 - ( 7,000 - 5,000 ) 万円 } × 42% ] / 1,000株 = 37,400円
赤字会社の場合の類似業種比準価額による株価
500円 × { ( 0円 / 10円 ) + ( 0円 / 20円 ) + ( 600円 / 500円 ) } / 3 (※) × 0.7
(※)利益比準値がゼロの場合の分母は3

【前提条件2】
前述したもののうち、負債の額が8,000万円の場合(赤字3,000万円が発生)
純資産価額方式による株価
[ ( 10,000 - 8,000 ) 万円 - { ( 10,000 - 8,000 ) 万円 - 0万円 (注) } × 42% ] / 1,000株 = 11,600円
(注)帳簿価額による純資産価額、評価差額に相当する金額がマイナスの場合は0となる。

このように、赤字決算の場合、類似業種比準価額、純資産価額ともに引下げられます。
  
3  留意点
 

類似業種比準価額を構成する、配当、年利益、純資産の3つの比重要素数1の会社である場合には、類似業種比準価額方式は採用できず、純資産価額方式が適用されます。
 
12-7 赤字決算時の自社株相続対策
 
 
1  赤字のときの類似業種比準価額
 
会社が赤字または利益が少ないことは、株の贈与のチャンスです。一般的に類似業種比準価額、純資産価額ともに株価も下がります。

【類似業種比準価額方式における株式の比準要素】
配当金額年利益金額純資産価額

このうち、会社が赤字になれば①の配当金と②の年利益金額はともにゼロになります。したがってこの場合の比準要素は純資産価額のみとなりますので、それを3分の1とすると、株価は大幅に下がります。(ただし、直前々期に利益が出ていることとします)。
 
  
2  債務超過のときの純資産価額
 
類似業種比準価額方式における赤字の場合の評価は上記のとおりですが、では純資産価額方式の場合はどうなるのでしょうか。
この場合は、たとえ赤字になったとしてもそれだけで株価は下がりません。
すなわち、純資産価額方式は、会社の損益という観点からではなく、保有資産の含み益などから、株価を算出するためです。
 
保有資産について総資産額よりも負債の価額が大きい場合、すなわち、債務超過の場合には株価はどのように評価されるのでしょうか。
通常の場合の株価が37,400円と計算されます。ところが、債務超過の場合だと株価が11,600円と計算されます。
 
類似業種比準価額による株価(大会社)
500円 × { ( 12円 / 10円 ) + ( 25円 / 20円 ) × 3 + ( 600円 / 500円 ) } / 5 × 0.7 = 430円
赤字会社の場合の類似業種比準価額による株価
500円 × { ( 0円 / 10円 ) + ( 0円 / 20円 ) + ( 600円 / 500円 ) } / 5 (※) × 0.7
(※)利益比準値がゼロの場合の分母は0

【前提条件1】
相続評価額による総資産額10,000万円
帳簿価額による総資産額7,000万円
負債の額5,000万円
発行済株式総数1,000株
 
純資産価額方式による株価
[ ( 10,000 - 5,000 ) 万円 - { ( 10,000 - 5,000 ) 万円 - ( 7,000 - 5,000 ) 万円 } × 42% ] / 1,000株 = 37,400円
赤字会社の場合の類似業種比準価額による株価
500円 × { ( 0円 / 10円 ) + ( 0円 / 20円 ) + ( 600円 / 500円 ) } / 3 (※) × 0.7
(※)利益比準値がゼロの場合の分母は3

【前提条件2】
前述したもののうち、負債の額が8,000万円の場合(赤字3,000万円が発生)
純資産価額方式による株価
[ ( 10,000 - 8,000 ) 万円 - { ( 10,000 - 8,000 ) 万円 - 0万円 (注) } × 42% ] / 1,000株 = 11,600円
(注)帳簿価額による純資産価額、評価差額に相当する金額がマイナスの場合は0となる。

このように、赤字決算の場合、類似業種比準価額、純資産価額ともに引下げられます。
  
3  留意点
 

類似業種比準価額を構成する、配当、年利益、純資産の3つの比重要素数1の会社である場合には、類似業種比準価額方式は採用できず、純資産価額方式が適用されます。
   >節税対策   >ⅩⅡ 【資産税】株式を活用した節税対策   
 
12-8 オーナー持株を従業員持株会へ譲渡
 
 
従業員持株会とは、会員を社員に限定して資金を拠出させ各人の拠出額に基づいて持分、収益を分配する制度です。会社オーナーの相続対策としては、自社株が最大のネックになってきますので、その一部を従業員持株会に移転して、相続財産を減らすことができます。
1  設立のメリット
 
① 安定株主の確保、株主多数化の防止
② 売却希望株式の受け皿的機能
③ 社員の目標形成、経営参加意識の高揚
④ 会社オーナー自社株評価の引き下げ
  
2  設立、運営のポイント
 
会への参加資格を規約上に明記する。
会は任意組合 理事長名義で管理信託されることによる事務の合理化、配当控除の摘要
会の持株比率はオーナー一族の会社の経営権に影響の及ばない範囲内とし、勤続年数や職位等によって、ランク別に割当てを行なう。
ただし持株比率1/3未満とすること。
株式の売買価額は配当還元による価額を原則とする。退会時の買取価額は明確にしておかないとトラブルの元になる。
3  自社株の評価メリット
 
自社株式の評価は、株の取得者によって異なります。オーナーやオーナー一族は相続税の原則的評価である純資産価額や類似業比準価額といった高い評価額となるのに対し、同族株主社員については評価額の低い配当還元価額が適用されます。
従業員持株会の設立は、株の取得者によって異なります。オーナーにとっては自社株評価を引き下げることができ、従業員も配当というメリットを享受することができます。また、オーナーが発行済株式総数の2/3以上の株式を保有していれば、株主総会の決議において支障をきたすことはありません。
  
4  持株会規約のポイント
 
次に従業員持株会規約のポイントについて述べますと、①参加メンバーの資格と脱退次期について、②自社株会の売買価額の2つが主として内規となります。
一般的には、参加者は入社何年以上、または×○役付以上の決め方が多く、脱退は退職時点です。一方、売買価額は配当還元方式が適用されますから、配当5~10%のときは額面相当金額とし、15%のときは額面相当金額の1.5倍といった決め方が妥当なところです。なお、自社株を会社が取得し従業員持株会に譲渡することも可能ですから検討をおすすめいたします。

 

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