税務調査では、利益操作の温床としての棚卸資産の期末計上額に厳しい目が注がれます。具体的には、在庫品の実査や理論値の計算を通じて、計上額の適否が検討されることになります。理論値からアプローチする場合、粗利益から逆算して在庫の概数の正否を問われることもありますし、よく用いられるのは「在庫回転期間」を用いた手法です。 
 

算式の在庫回転期間にあたる日数で平均在庫が常備されていると考えれば、在庫高の概数を把握でき、仕入納品書等の資料を精査することで平均在庫の適否が検証されます。
材料仕入の変動により棚卸の数字は大きく影響を受けますが、過去の実績値や標準値と比較して異常な点が見つかれば、そこに調査の重点が置かれ、原因を追究されることになります。 

【調査の注意事項】
調査の選定にあたっては、一般的には異常数値に注目し調査を行うわけですが、毎期在庫回転期間が同じ場合には利益調整を行っているのではとの疑いを持たれることもあります。 

【原材料・貯蔵品のポイント】

未成工事支出金とは、完成していない工事のために支出した工事原価です。
これは、工事収益の計上とそれに関連する費用の計上を対応させるために、未完成の工事のための工事原価を、売上計上時までは費用とせずに棚卸資産として計上しておく必要があります。
未成工事支出金の消費税に係る課税仕入は、仕入を行った時点で課税仕入となります。ただし、継続適用を条件にその請負工事の目的物を引き渡した課税期間において、課税仕入とすることも可能です。 

また、消費税計算の注意点として、未成工事支出金のうち、外注費や材料費等に関するものについては課税仕入となりますが、賃金・給与等の労務費については課税対象外、法定福利費や保険料といった支出については非課税となる点について注意する必要があります。 

【未成工事支出金のポイント】