| ① | 交際費に該当する費用を他の費用に仮装していないか | | ② | 交際費以外の科目の中に交際費に該当するものが混入していないか | | ③ | 固定資産、棚卸資産の取得原価の中に交際費に該当する者が混入していないか | | ④ | 交際費の中に、個人的費用や使途秘匿金に該当する者が混入していないか |
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| ① | 社内におけるチェック体制の把握 | | ② | 元帳、経費帳、証憑類、契約書等からの検討 | | ③ | 稟議書、社内決済文書からの検討 | | ④ | 交際費に係る予算、実績からの検討 | | ⑤ | 業種、業種からの検討 | | ⑥ | 反面調査の実施 |
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交際費の周辺科目に交際費に該当するものが混入していないかが重要となります。
(1) 会議費
来客との商談、打合せなどに際して、社内又は通常会議を行うのにふさわしい場所において、昼食の程度を超えない飲食物の供与に要する費用は交際費に該当しないとされています。
(2) 販売促進費
新規顧客を紹介してもらったことに対する謝礼金などのように、情報提供を業としていない者に対する謝礼金などについては、次の3つの要件を全て満たさなければ交際費となります。
| ① | 金銭等の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること | ② | 提供を受ける役務の内容がその契約において具体的に明らかにされていること | ③ | 交付した金品の価額が役務の内容に照らし相当と認められること |
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(3) 福利厚生費
交際費における接待等の相手方は、得意先や仕入先などはもとより、会社の役員、従業員、株主、地域住民等も含まれます。例えば、社内において、特定の優秀社員のみを酒食により慰労するような場合は、通常の福利厚生活動のように、全社員一律で、かつ社会通念上一般的に行われている者とは異なる為、特定の従業員に対して接待等を行ったものとされ、交際費とされる場合があります。
(4) 広告宣伝費
広告宣伝費とは、不特定多数の一般消費者を対象として行われるものをさします。次のような場合は一般消費者には該当せず、交際費となりますので注意が必要となります。
| ① | 医薬品メーカー・販売業者における医師や病院 | ② | 化粧品メーカーにおける美容院・理容院 | ③ | 建材メーカーにおける建築業者 | ④ | 肥料メーカーにおける農家 | など |
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(5) 旅費交通費
交際費には、得意先等を接待、供応するための費用すべて含まれます。接待の際、得意先をタクシーなどで送迎する費用や手土産、また、自らのタクシー代等も交際費となります。
具体的には、たとえば以下のような点が調査の対象となります。
| ① | 私用および観光目的の旅行を出張扱いしていないか | | 出張旅費、研修費の中には「研修会参加」「視察」「学会参加」等の名目で私用および観光目的の旅行が経費に紛れ込んでいることがあるため、税務調査では領収証のみならず参加した学会等の日程表その他業務に関連した出張であることを立証できる証憑類の提示が求められます。 | ② | カラ出張や架空交通費の計上はないか | | 税務調査では、頻繁に行われる小口出張を中心に、証憑類のチェック、特に、業務目的の出張であることを立証できる書類の存在の有無や日付の整合性の確認といったことが行われます。また、職員等でタイムカードなど業務記録がある者については、出張日と業務記録との突合がなされます。 | ③ | 出張仮払の精算は妥当か | | 出張旅費や日当をまとめて仮払いして後日精算するケースについては、精算時に使途秘匿金や交際費、給与にあたる私費が混入する場合があるため、精算の内訳が調査されます。 | ④ | 渡切り交通費で未精算のまま放置されているものはないか | | 渡切り交際費と同様、渡切り交通費で未精算のまま放置されているものは給与所得とみなされるため、特に家族従業員に対する渡切り交通費がないかチェックされます。 | ⑤ | 通勤費の非課税限度枠を利用した給与所得の移し替えはないか | | 通勤費は所得税非課税限度の枠が比較的大きいことから、これを利用して個人の実質給与にあたる額を通勤費に混入するケースがあり、これについて調査される場合もあります。 |
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(6) 減価償却費に対する税務調査
減価償却費の計算は毎期同様であり、かつ単純・機械的であるので、前期の計算に準じて行われてしまう傾向があるので、税務調査時において、減価償却資産自体に変化があった場合、法定耐用年数が変わった場合等、減価償却の計算が適切に行われているか調べられます
(7) 修繕費に対する税務調査の対処法
| ① | 資本的支出と修繕費との区分 | | 修繕費は特に資本的支出と修繕費の区分が難しく、厳密にして正確な資本的支出と修繕費 との区分が不可能なため、税務調査時において、修繕費を資本的支出として否認されるケースが多いようです。 | ② | 多額の修繕費をピックアップすること | | 修繕費勘定を分解して、そのうち1回の修繕費が多額であれば、大規模修繕が含まれている可能性が高いので、その内容に応じた処理を行い、会計処理時において、工事見積書、請求書等の内容をチェックする必要があります。 |
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(8) 会 費
親睦を目的とした同業者団体の会費やロータリークラブ、ライオンズクラブ等の入会金、通常会費などは原則として交際費に該当します。ゴルフクラブの会費やプレー代はもちろん、名義書換料やロッカー料も交際費となります。
ただし、新規に会員権を取得した場合に支出する名義書換料はその会員権の取得価額に含める必要があります。
(9) 損賠賠償金に対する税務調査のポイントと対処法
| ① | 個人負担に帰すべき支出が含まれていないか | | 損害賠償金のうちに業務遂行に直接関連しない支出が含まれている場合には、その支出は事業主貸として経費から除外されることになります。 | ② | 故意又は重大な過失はないか | | 事業に関連して支払われるものであれば原則として全額損金算入が認められていますが、故意または重大な過失があった場合には損金になりません。特に医療過誤のケースにおいては、重大な過失の有無がポイントとなってきます。 | ③ | 損金計上のタイミングは適正か | | 裁判で判決が確定したものについては、その一切の資料の提示が求められ、特に損金処理のタイミングが調査されます。 裁判を経由しないものについては、先方との交渉の経緯について説明を要し、示談金等の支払いがある場合、先方の受取りを確認できる書類があるかおよび金銭の動きに不明瞭な点がないか等がチェックされるとともに、損金計上のタイミングが適時であるかが検討されます。 (ただし、賠償金の損金計上のタイミングは、原則として「支払額が確定したとき」であり、示談金等で先方に期末までに申し出た金額を未払計上している場合には、その金額の損金計上が認められます。) | ④ | 関連支出及び保険金の補填などは正しく経理されているか | | 損害賠償に関連した仮出金等が整理されているか、また、損害賠償にかかる保険等の補填がある場合に正しく処理されているかが、仮払金、仮受金、雑収入等の関連勘定とあわせてチェックされます。 特に保険金の補填がある場合には、支払口座や支払決定通知の管理を徹底して適時な計上を心がける必要があります。損害賠償金の科目は性質上金額が多額にのぼり、判断が微妙であることから、特に関係書類の整備が要求されます。 具体的には、裁判記録、顛末の記録、仮出金等の明細およびその証憑類に至るまで各種資料を時間の経過に従って整理しておくことが求められるでしょう。 |
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(10) 家事費按分
個人事業の場合、事業と家事費との按分が必要になるケースが多々あります。
主な対象は、下記の項目になります。
| ① | 車両費 | ② | 通信費 | ③ | 水道光熱費 | ④ | 借入利息 | ⑤ | 損害保険料 |
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按分の基準には絶対的なものはありませんが、通常は、事業と家事の使用割合、面積割合等に基づき按分することになります。
(1) | 役員に対する渡切り交際費は、役員に対する給与となる。 |
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(2) | 社長の長男である専務の結婚披露宴に得意先を多数招き会社で費用計上したが、交際費とはならず専務に対する役員賞与となる。 |
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(3) | 契約に基づいて支払われる情報提供料は交際費に含まれない。 |
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(4) | 費途不明の交際費等は損金の額に算入されないので、交際費等に額には含まれない。 |
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(5) | 売上割戻しの基準により事業用資産、少額物品を交付するための費用は交際費に該当しない。 |
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(6) | 落成式等の式典の祭事のため通常要する費用は交際費等に該当しない。 |
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(7) | 社会事業団体、政治団体に対する拠金、神社の祭礼等の寄贈金など、金銭でした贈与は寄附金となる。 |
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(8) | まだ生産できる状態になっていない機械装置を事業の用に供したとする誤り、工場建物が完成する前に機械装置を工場内に搬入していたため、その日を事業の用に供した日としていたが、工場建物完成と同時に行なった据付、試運転を完了し製品の生産を開始した日が正当であると指摘された。 |
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(9) | 1組、ひと揃えで10万円未満か判断しなかったための誤り |
| 応接セットの入替えのため、8万円のテーブル1卓と、2万円の椅子を4脚購入した。いずれも1点10万円未満であるため備品費として損金経理したが、応接セットは通常テーブルと椅子が1組で取引されるものであるから少額の減価償却資産には該当せず、資産計上とされた。 |
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(10) | 指定事業に該当しないのに適用した誤り |
| 当法人は青色申告の中小企業者に該当する医療法人であるが、今期購入した電子計算機等の器具備品について中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却を適用して償却費を計上したが、指定事業に該当しないとして特別償却を否認された。 |